解雇・退職についてよくある相談

労働基準

解雇・退職についてよくある相談

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解雇のルールを正しく理解
解雇とは? 解雇とは、一般的に使用者から一方的に労働契約を解除することをいいます。 解雇は労働者にとっては生活の糧を失う重大な問題となりますので、労働基準法では解雇に関するルールが定められており、労働者の保護を図っています。 使用者が気を付...

解雇についてよくある相談

諭旨解雇とは?

諭旨解雇とは?

従業員が不祥事などを起こした事件で「諭旨解雇」という言葉を聞きますが、これは通常の解雇とは、どう違うのですか?

「諭旨解雇」は法律用語ではありません。ですので会社によって様々に取り扱われています。一般的に次のようなケースがあるようです。
①就業規則及び労働契約書において懲戒処分の一つ。通常「懲戒解雇」に告ぐ重い処分としてあらかじめ規定されている。解雇予告手当や退職金を全額または一部支払った上で解雇する。
②従業員の不祥事、非行があったときにその行為を諭したうえで、従業員の意思により辞表を提出させる。

懲戒解雇と退職金

懲戒解雇と退職金

会社のお金を横領した経理課長を懲戒解雇しました。損害金は利息を含めすべて弁済させましたが、この従業員に退職金を支払う必要はありますか?

採用時に退職金の支払いを約束したりその会社に退職金を支払う慣行がある場合は、退職金の支払い義務があります。 懲戒解雇をしたときに退職金を減額または支給しないことができるか否かは、個別に判断する必要がありますが、少なくとも就業規則等に「懲戒解雇の場合には退職金を減額し、または支給しない」といった規定があらかじめ設けられていることが必要です。

懲戒処分の種類

種類 内容
戒告・譴責 始末書を提出させ、将来を戒めることを「譴責」といい、たんに将来を戒めるだけの場合を「戒告」という
減給 労働者が本来受け取ることのできる賃金から一定の金額を差し引くこと
出勤停止 労働契約をそのまま存続させ、労働者の就労を一定期間停止すること
降職・降格 役職を下げることを「降職」といい、社内等級を下げることを「降格」という
諭旨解雇 使用者の説得のもと、退職願いを提出させること
懲戒解雇 重大な違反行為に対してなされる懲戒としての解雇

業績悪化が理由の内定取消

業績悪化が理由の内定取消
内定が決まっている会社から、入社日の直前になって会社の業績悪化を理由に内定取り消しの連絡がありました。この取り消しは有効なのでしょうか?

内定が労働契約成立と認められる場合、社会の常識にかなう納得できる理由がなければ内定取り消しは無効です。(労働契約法第16条)

逆に内定取消が正当と判断されるケースとして、学校を卒業できなかった、必要な免許や資格が取れなかった、健康状態が悪化して働くことが難しくなった、履歴書に事実と異なることが記載されていた。

試用期間中の解雇

試用期間中であれば、いつでも辞めさせられる?

たとえ試用期間中であっても、雇い入れた日から14日を経過すると、解雇予告制度が適用されます。 つまり、雇い入れた日から14日以上経過した試用期間中の労働者を本採用とせずに解雇するには、労働基準法第20条により、「少なくとも30日前に予告する」か、「平均賃金の30日分以上を支払う」かのいずれかを行わねばなりません。

一方、雇い入れた日から14日未満の場合、即日解雇が可能です。この場合、解雇予告制度は適用されません。 ただし、解雇の事由によっては、解雇無効と判断される可能性があります。解雇するには合理的な理由が必要です。

期間の定めのある社員の解雇・雇止め

期間の定めのある社員(有期労働契約)が、契約内容の変更を受け入れないときには、契約満了期日で解雇しても良い?

労働条件の変更と労働契約の終了(解雇・雇止め)をセットで取り扱ってはいけません。 特に期間の定めのある社員(有期労働契約)の場合は、契約締結時に合意した契約条件を、契約期間内に一方的に変更することはできません。

仮に、契約内容の変更を行う場合には、合理的な理由が必要であり、さらに労働者との個別の同意が必要です。

退職についてよくある相談

定年退職時の社会保険手続きは?

社員が60歳定年で退職することになりました。社会保険手続きにはどのようなことがありますか?

社員の退職に伴い、会社は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を資格喪失日(資格喪失日は退職日の翌日)から5日以内に、事業所の住所を管轄する年金事務所へ提出しなければなりません。
その際には、退職者および健康保険の被扶養者であった家族の「健康保険被保険者証」を回収し、届けに添付する必要があります。

保険料は、資格喪失日の属する月の前月まで徴収することになっています。月末退職の場合は資格喪失日が翌月となりますので、退職した月までの保険料を徴収する必要があります。
給与からの社会保険料の控除は、翌月となっていますので、月末退職の場合には、前月分と退職月分の2か月分の被保険者負担分を徴収することになります。

60歳に達したことによる手続として、「高年齢雇用継続給付受給資格確認表」および「雇用保険被保険者六十歳到達等賃金証明書」を60歳に達した日(誕生日の前日)の翌日から起算して10日以内に、事業所の住所を管轄するハローワークへ提出します。

さらに離職に係る手続きとして「雇用保険被保険者資格喪失届」および「雇用保険被保険者離職証明書」を退職日から10日以内に、事業所の住所を管轄するハローワークへ提出します。退職者が雇用保険の失業給付を受けるときに必要となります。

「競業避止義務」の有効性

競合他社への転職を禁止する「競業避止義務」が無効になるケースがあるとのことですが、どのような点に注意が必要でしょうか?

退職の際に、競業他社への転職を禁止する「競業避止義務」を課す会社は多いのですが、憲法第22条1項の職業選択の自由の観点から無効になる場合があります。

競業避止義務が有効かどうかのポイントは、①競業避止の期間、②場所の指定、③職種の範囲、④代償的な措置をしているか、の4つの点が重視されます。

これら4つの点の内容は、必要最小限のものでなければなりません。①期間に関しては最高でも2年程度が限度で、②場所は営業区域がかぶらない地域での競業他社への転職は認めるべきでしょう。(市町村単位が望ましい)

③職種は実質的に同様のものでない限り禁止は無効になる捉えたほうがよく、業務上知り得た秘密情報や特別なスキルを持っていない社員まで禁止することはできません。

④転職の自由を制限している代償的な措置として、退職金の増額や特別な手当てなどで埋め合わせが必要になります。

 

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