福利厚生の目的
企業が提供する福利厚生は、先の記事でも記載していますが、法定福利、法定外福利と種類も多く広範囲に渡っています。それらが目的としていることは、概ね下述の項目のように整理できます。
人材の定着
雇用する企業側の目的のひとつには、人材を定着させたいというものがあります。
そのためには、例として育児休暇や子供の看病休暇を充実させれば、幼児を持つ親になっても、離職せず働き続けることができるでしょう。
親の介護も同様で、介護休暇などの制度を設けることも離職を防ぐことになります。
採用時のアピール
昨今の学生は、就職する企業を選ぶ理由のひとつに福利厚生が充実しているか?という点を重視し大企業を選ぶ傾向にあるといわれています。
一方では、「ベンチャー企業で福利厚生が充実している場合、経営がしっかりしている」という印象を持っている学生も多くいるとのことです。
求人欄に福利厚生が充実していることを告知すれば、「働きやすい環境が整っている」と積極的に福利厚生に取り組んでいる企業として、求職者にアピールでき、応募につながることでしょう。
離職防止
先の定着と同様ではありますが、少子高齢化による労働人口が不足しています。
そのため人材確保が困難な状況にありますので、従業員の定着率の維持・向上に務めることが大切です。住宅手当などの福利厚生が十分でないという理由で退職する人もいます。
採用・育成にはコストがかかります。離職率が高いとこの採用コスト、育成コストも嵩むことになります。このコスト増を福利厚生に回せば、企業のアピールにもなりますし、離職防止にもつながることでしょう。
企業と従業員の良好な関係構築
自社の福利厚生が充実していると、従業員も安心して働けますし、帰属意識も高まり会社の成長に貢献するという気持ちが強くなります。
生産性向上が叫ばれているなか、従業員のモチベーションを高め、仕事や会社に誇りを持ってもらうことで、従業員の能力を発揮させることができるでしょう。
健康経営の実現
従業員の健康の維持は企業にとって重要な課題です。
従業員が、病気になり長期で休職したり、あるいは離職した場合、会社にとって大きな損失となります。
そんな状況の防止対策として、従業員の健康意識を高め、健康を維持できる配慮が求められます。福利厚生としては、定期的な健康診断や人間ドックの受診を補助し、促進することが求められます。
法人税の節約
福利厚生費は、給料および交際費以外の間接的な給付を行うための費目に該当します。ですので企業が福利厚生制度を充実させ、従業員に提供することで法人税を節約することができます。