社会保険労務士の業務の検査
労働局、厚生局、社会保険労務士会により、社会保険労務士の 業務が適正に運営がなされているかを確保するために監督、指導が行なわれます。
そのことは社会保険労務士法の、第4章監査で報告及び検査の項目が定められています。
第二十四条 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員をして当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の事務所に立ち入り、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に質問し、若しくはその 業務に関係のある帳簿書類(その作成、備付け又は保存に代えて電磁的記録の作成、備付け又は保存が されている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。
厚生労働大臣の権限で「開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めたり、職員を立ち入らせて、質問や帳簿書類を検査」させることができます。
社会保険労務士会による注意勧告
社会保険労務士会は、所属する社会保険労務士、または社会保険労務士法人が業務に関係する法律等に違反するおそれがある場合、注意勧告することができます。
第二十五条の三十三 社会保険労務士会は、所属の社会保険労務士又は社会保険労務士法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又は労働社会保険諸法令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対して、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
社会保険労務士会は、所属する社会保険労務士に自主的な指導を行うことで、監督官庁の懲戒処分や、処罰の対象となるべき違法行為を未然に防止するよう努めています。
社会保険労務士業務の適正確保
社会保険労務士は、労働・社会保険に関する法律の専門家として、事業主または労働者の求めに応じ、報酬を得て独占的に業務を行うことが認められています。
もしも、社会保険労務士が不適正に業務を行った場合、行政の運営に悪影響を与えますし、さらに事業主や労働者が被害を受けることになります。
社会保険労務士の業務を適正に確保するため、社会保険労務士には、厚生労働大臣の監督権限および、社会保険労務士会による注意勧告が法律で定められているのです。
社会保険労務士に対する懲戒処分
厚生労働大臣は、職責又は義務に反する行為を行った社会保険労務士に一定の懲戒罰を課すことが出来ます。
それでは、社会保険労務士が違法行為を行った場合に、どの様な懲戒処分を受けるのかを見ておきましょう。
懲戒の種類(社会保険労務士法第25条)
社会保険労務士に対する懲戒処分は次の3つ
① 戒告
② 一年以内の業務の停止
③ 失格処分(資格を失わせる)
懲戒処分に該当する行為(社会保険労務士法第25条の2、第25条の3)
懲戒処分に該当する行為は、次の通りです。
① 真正の事実に反して、申請書等の作成、事務代行を行うこと
紛争解決手続き代理業務を行うこと
② 社会保険労務士法令に違反する等の不正行為を行うこと
③ 労働・社会保険に関する法令に違反すること
④ 社会保険労務士としてふさわしくない重大な非行を行うこと
懲戒処分を受けた場合、厚生労働省のHPや官報に、社会保険労務士の氏名、住所、不正行為の内容等が広く世間一般に公表されます。
以上のように、社会保険労務士に対しては、法律や所定の手続きに則り正しく適正な業務を行うことが求められています。