社労士が守るべきルールとは

社会保険労務士

社会保険労務士の法律「社会保険労務士法」

はじめに、社労士は「社会保険労務士法」に基づいた国家資格者です。

企業の成長には、お金、モノ、人材を必要とします。社労士はその内の人材に関する専門家です。そして社労士は、企業における人材の採用から退職までの「労働・社会保険に関する問題」や「年金の相談」に対応するなど、業務の内容は広範囲です。

社労士が業務を遂行する上で、守らなければならないルールが「社会保険労務士法」となります。この法律に基づき、企業の労働、社会保険の業務を、企業の依頼を受け代行(代理)しています。

そして社労士には次の違いがあります。

開業社会保険労務士 事務所を開設し、事業主等からの依頼を受け業務を行う。
勤務等社会保険労務士 企業等に属し、所属組織等において業務を行う。
特定社会保険労務士 労使間のトラブルを裁判外で解決するため、事業主や 労働者等の代理人として業務を行う。
定められた研修を修了し、試験に合格する必要がある。

社会保険労務士の職責

社会保険労務士法の第一条の2には、次の条文が定められています。

(社会保険労務士の職責)
第一条の2  社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

この条文では、社労士は「常に品位を保持し」とあります。条文の冒頭に書かれていますので「品位」は大切なポイントということです。

貝角社労士
貝角社労士

社労士は品位と公正さが求められています

 

そして社労士は「誰のために業務を行うのか?」ということですが、これは当然「依頼者のため」です。しかしこの条文では「公正な立場で」とあり、企業と労働者を含め社会全体の利益のために業務を行うように定められています。

もし依頼者の利益のためだけに業務を行えば「経営が苦しいので、残業代を支払わなくても良い方法はないのか?」というような不正行為を幇助する様な依頼が求められるかも知れません。

このような場合には、「NO」と言える社労士でなければならないのです。

社労士に課せられている義務

社会保険労務士は専門家ですので、専門家としての知識や立場を悪用して不正を行わないように社会保険労務士法に定められています。

(不正行為の指示等の禁止)
第十五条  社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。

この条文は、社労士は依頼を受けた企業等に不正行為について、「指示を行ったり、相談に応じたりしてはいけない」ということです。

不正行為とみなされる行為

・不正に保険給付を受けること
・不正に保険料の賦課または徴収を免れること
・労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法、厚生年金法、健康保険法等に違反する行為を行うこと

指示・相談とみなされる

・不正の具体的な方法を教えること
・法令違反の行為の相談相手となること
・法令違反の行為に肯定的な回答をすること

さらに同法には、信用失墜行為の禁止が定められています。

(信用失墜行為の禁止)
第十六条
社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。

ここでの信用失墜行為とは、基本的には、個別の的具体的な事案ごとに判断されますが、社会保険労務士法に違反する行為を始め、関係法令に違反する行為、刑法上の犯罪行為、その他の非行をいいます。

不正行為の具体例としては、各種助成金の不正受給、労災かくしの虚偽報告、労働保険料の過小申告、労働基準法に基づく臨検・報告に対する不作為等、社会保険料に関する虚偽届出などがあります。

不正行為を行った場合、社労士会からの注意勧告と処分、労働局・厚生局の調査が入ります。その結果、不正となった場合労働大臣による懲戒処分、司法手続きによる刑事罰(懲役・罰金)が課せられます。

そして社会保険労務士の業務を行えなくなることがあります。

社労士に課せられた責務は重く、不正行為については厳しく罰せられることになっています。

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